PubMedID 25662902 Journal Lancet Neurol, 2015 Feb 3; [Epub ahead of print]
Title CHCHD2 mutations in autosomal dominant late-onset Parkinson's disease: a genome-wide linkage and sequencing study.
Author Funayama M, Ohe K, ..., Ohno K, Hattori N
順天堂大学大学院医学研究科  老人性疾患病態・治療研究センター    舩山 学     2015/02/13

新規家族性パーキンソン病原因遺伝子の発見
パーキンソン病患者の約90%は孤発性であるが一部メンデル遺伝性パーキンソン病が存在する。メンデル遺伝性パーキンソン病の分子遺伝学的研究によって、これまでα-synuclein、parkinなどの原因遺伝子が単離され疾患の理解に寄与している。我々はメンデル遺伝性パーキンソン病の大家系ついて次世代シークエンサーで網羅的にゲノム解析をした結果、新規パーキンソン病原因遺伝子として、coiled-coil-helix-coiled-coil-helix domain containing 2 (CHCHD2) を単離した。本研究では日本人遺伝性パーキンソン病341家系の変異解析により、4家系3種類のCHCHD2変異を同定した。さらに孤発性パーキンソン病群 (N=517) と健常群 (N=559) のゲノム関連解析の結果、CHCHD2遺伝子上の2つのSNPsが孤発性パーキンソン病群で有意に高頻度であることを見出した。したがってCHCHD2は稀なメンデル遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子であるだけでなく、一般的な孤発性パーキンソン病の発症感受性遺伝子でもある可能性が高い。
CHCHD2はミトコンドリアターゲッティング配列 (MTS) を有しMTS依存的にミトコンドリア膜間腔に局在する。これまでの報告からCHCHD2をノックダウンするとミトコンドリア複合体IVの活性が低下することが明らかになっている。またハンチントン病患者由来神経幹細胞において特異的に発現量が増加していることも報告されており、CHCHD2はパーキンソン病のみならず多様な神経変性疾患に関与している可能性が高い。今後モデル細胞やCHCHD2変異陽性患者由来iPS等を使って変異CHCHD2の病態機序を明らかにしていく予定である。
   
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